息子がまだ小さかっか頃、若くて美しい女性の先生にピアノを習っていました。その方のお顔だけではなく、声や仕草、ピアノや歌の教え方、ファッション……すべてが魅力にあふれていて、私はいつも見とれていました。ある時、先生が私の横を通り過ぎた時、かすかに感じる心地よい香りにハッとさせられました。どんな香水も私はどうしても好きになれず敬遠していましたので、その香水の名を尋ねたい衝動に駆られました。でも、なぜか尋ねることができませんでした。転居を境に、もうその先生とお会いすることはなくなりましたが、今でも時々思い出します。そして、デパートの香水コーナーを見つけると、あれこれサンプルを試すのですが、あの日の香りには出会えないままです。きっと、あの香りは、彼女だけが持つ。オーラの香りだったのでしょう。新聞のコラムで「人のかもし出す雰囲気を表す『オーラ』とは、かすかに吹く風の女神だったという」の一文を読んだ時、その先生のことを思い起こしました。顔もスタイルも、もちろん素晴らしいのですが、それだけでは得られない。何かを身につけている人は、全身から不思議な光を放ち、遠くからでも特別な印象を与えます。その光の主になるには、見た目の美しさに加えて何か必要なのだろう。教養?心根の美しさ?自信?・考えてみましたが、答えはまだ見つかっていません。もしかするとオーラとは、選ばれた者だけがまとうことのできる、。羽衣のようなものなのかもしれません。私には特別な羽衣は与えられていませんが、身にまとう香りを手作りする楽しみは与えられています。「かすかに吹く風の女神」に憧れながら、天然精油をブレンドして香水を作る心地よさを楽しみ、これからもさまざまに試行錯誤しつつ理想の香りを探し続けていきたいと思っています。
[参考]
アロマサロンMAP